「おやつちょうだい」の熱烈なアピールに負けて、ついつい与えすぎてしまった経験はありませんか?気がつけば愛犬にとって「おやつ>ごはん」の図式が成り立ってしまい、肝心のドッグフードが脇役に転落してしまうことも。今回は、そんなドッグフードの「立場の危機」について考えてみましょう。
おやつが主役になってしまう瞬間
可愛すぎるおやつアピール
愛犬のおやつアピールは、本当に可愛くて抗えないものです。上目遣いでじっと見つめたり、お座りして「良い子だからおやつちょうだい」アピールをしたり、時には前足でちょんちょんと飼い主を触ったり。
その可愛さに負けて「もう一個だけ」「今日は特別」と言いながら、結果的におやつの回数や量が増えてしまう。そんな経験、きっと多くの飼い主さんにあるのではないでしょうか。
「特別感」がクセになる
おやつには「特別感」があります。普段のドッグフードとは違って、「ご褒美」「特別な時間」「飼い主さんとの特別なコミュニケーション」といった付加価値がついています。
愛犬も「おやつの時間=特別で楽しい時間」と学習してしまい、だんだん普通のごはんでは物足りなくなってしまうのです。
ドッグフードの立場が危うくなる兆候
ドッグフードを残すようになった
最初の兆候は、それまで完食していたドッグフードを残すようになることです。「あれ?体調悪いのかな?」と心配になって病院に連れて行っても、特に異常はない。
でも、おやつは喜んで食べる。そんな時は、おやつの与えすぎでドッグフードの価値が下がってしまっている可能性があります。
おやつの催促が激しくなる
ドッグフードの時間よりも、おやつの催促の方が激しくなってきたら要注意です。ドッグフードの器を見ても「ふーん」という感じなのに、おやつの袋を見ると目の色が変わる。
これは明らかに愛犬の中で「おやつ>ごはん」の序列ができてしまっている証拠です。
ドッグフードを食べる前におやつを欲しがる
「ごはんを食べてからおやつね」と言っても、まずおやつを欲しがるようになったら、完全におやつが主役になってしまっています。
本来なら空腹の時に一番食べたいはずのドッグフードよりも、おやつの方を優先するようになってしまっているのです。
なぜ「おやつ>ごはん」になってしまうのか
嗜好性の違い
多くのおやつは、嗜好性を高めるために味が濃く作られています。塩分、糖分、脂肪分などが多く含まれていて、犬にとって「美味しい」と感じやすい味付けになっています。
一方、ドッグフードは栄養バランスを重視して作られているため、おやつほどの嗜好性はありません。これは人間で例えると、「栄養バランスの良い定食」と「美味しいスナック菓子」の関係に似ています。
与える頻度とタイミング
おやつは不定期に、特別なタイミングで与えられることが多いため、犬にとって「レア」で「価値の高い」ものになりがちです。
一方、ドッグフードは毎日決まった時間に与えられるため、「当たり前」のものになってしまいます。
飼い主の感情の影響
おやつを与える時の飼い主の感情も影響します。「可愛いから」「喜ぶから」という愛情表現としておやつを与えることが多く、その温かい感情も一緒に愛犬に伝わります。
ドッグフードは「栄養のため」「健康のため」という義務的な感覚で与えがちで、その感情の違いも愛犬は敏感に感じ取っているのです。
ドッグフードの立場を回復させる方法
おやつの量とタイミングを見直す
まずは、おやつの量とタイミングを見直しましょう。1日に与えるおやつのカロリーは、全体の食事量の10%以下に抑えるのが理想です。
また、食事の直前にはおやつを与えないようにして、ドッグフードを食べる意欲を削がないようにしましょう。
ドッグフードに「特別感」をプラス
ドッグフードにも「特別感」を演出してみましょう。少し温めて香りを立たせたり、たまに少量の茹でた野菜をトッピングしたり、食器を特別なものにしたり。
「ドッグフード=つまらないもの」というイメージを変えることが大切です。
食事の時間を特別な時間にする
食事の時間を、飼い主と愛犬の特別なコミュニケーションタイムにしましょう。ドッグフードを準備している間に話しかけたり、食べ終わった後に褒めてあげたり。
おやつの時だけではなく、普段のごはんの時間も愛情たっぷりの時間にすることで、ドッグフードの価値を高めることができます。
おやつとの上手な付き合い方
おやつは「ご褒美」として使う
おやつは本来、しつけのご褒美や特別な時の楽しみとして使うものです。「何となく」「可愛いから」という理由ではなく、明確な目的を持って与えるようにしましょう。
健康的なおやつを選ぶ
どうせおやつを与えるなら、できるだけ健康的なものを選びましょう。無添加のもの、低カロリーのもの、歯の健康に良いものなど、愛犬の健康にプラスになるおやつを選ぶことで、罪悪感も減らせます。
手作りおやつという選択肢
市販のおやつではなく、手作りのおやつという選択肢もあります。茹でた野菜や、少量の茹でた鶏肉など、自然な食材をおやつとして使えば、添加物の心配もありません。
ドッグフードの価値を再認識しよう
栄養バランスの重要性
ドッグフードの最大の価値は、犬に必要な栄養素がバランス良く配合されていることです。おやつだけでは、このバランスを保つことはできません。
愛犬の健康を維持するためには、やはりドッグフードが主役である必要があります。
長期的な健康への影響
「おやつ>ごはん」の状態が続くと、栄養バランスの崩れから肥満や病気のリスクが高まります。一時的な「美味しさ」よりも、長期的な健康を考えることが大切です。
コストパフォーマンス
実は、ドッグフードは栄養価に対するコストパフォーマンスが非常に良い食べ物です。おやつばかり食べて必要な栄養が取れず、結果的にサプリメントが必要になったり、病気になったりしたら、かえって高くついてしまいます。
「おやつ断ち」は必要?
極端な制限は逆効果
「ドッグフードを食べないならおやつ禁止!」という極端な制限は、かえって逆効果になることがあります。愛犬にとっても飼い主にとっても、ストレスになってしまいます。
段階的な調整が効果的
おやつの量を急に減らすのではなく、段階的に調整していくのが効果的です。今週は昨日の80%、来週は70%といったように、少しずつ減らしていきましょう。
代替手段を用意する
おやつの代わりに、遊びや散歩、ブラッシングなど、食べ物以外のご褒美を用意することも大切です。愛犬にとって嬉しいことは、おやつだけではないはずです。
飼い主の意識改革も必要
「可愛いから」の誘惑に負けない
愛犬の可愛いアピールに負けて、ついおやつを与えてしまう気持ちはよくわかります。でも、本当に愛犬のことを思うなら、時には心を鬼にして断ることも必要です。
愛情表現の方法を見直す
おやつを与えることだけが愛情表現ではありません。一緒に遊んだり、話しかけたり、撫でてあげたり。様々な愛情表現があることを思い出しましょう。
長期的な視点を持つ
「今」の可愛さに負けるのではなく、愛犬の「将来」の健康を考えた行動を取ることが、本当の愛情です。
まとめ
「おやつ>ごはん」の状態は、一見すると愛犬が喜んでいるように見えますが、実は愛犬の健康にとって良くない状況です。ドッグフードには、愛犬の健康を維持するための重要な役割があります。
おやつを完全に禁止する必要はありませんが、適切な量とタイミングで与え、ドッグフードが主役の食生活を維持することが大切です。
愛犬の可愛いアピールに負けそうになった時は、「この子の健康のため」ということを思い出して、適切な判断をしてあげてください。そうすることで、ドッグフードの立場も回復し、愛犬の健康も守られるはずです。
今日から、ドッグフードにもっと注目して、愛犬の食生活を見直してみませんか?
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